番外編SS「おでん」



「みなさん、こんにちは!僕、池照ダニエルです。けど、今日はなぜか僕、『おでんの具』

なんだ。僕はおでんで言うトコの『すじ』って奴なんだけど、位置的には多分、世の中の男

性陣とか大人な感じの人にウケてる具なんじゃないかなって思ってる。しかも僕は、『おで

んのツユ』にも多大な貢献をして深み関係に影響を及ぼしていると思うんだよね。良い『ダ

シ』が僕から沢山出て、おでんを更に美味しくしている自分を誇らしく思うよ。それに・・

・」

「ねぇ、ダァ〜ン!」

「・・・それに、僕は・・・」

「ねぇ、ダンってばぁー!」

「何だよ、ルパート!僕が今喋ってんだろ?」

「ダンの『串』が僕のおっぱいのトコ、突っ突いてるんだよー!痛いでしょー!んもぅっ!

「あ、そうだったのか・・・ごめんね、ルパート。って・・・え、『おっぱい』?」

「僕のお話聞かないダンはホント悪い子だよ!僕のおっぱいはここでしょ!ちゃんと見てよ

ねー!」


ダニエルが若干「鼻血」を出しかかった。

アブナイ・・・・・「ツユ」が危うく赤くなる所だった。



「ごめんね、ルパート。まさか君が僕の隣に居たなんて・・・それにまさか僕がルパートの

おっぱいをツンツンしてたなんて思いもしなくて・・・。ふ〜ん・・・そこがルパートのお

っぱいだったののか。へぇ〜・・・」

「もう見ないでよ」

ルパートが体を反転させた。

「えぇ〜?何なんだよ、見ろとか見ないでとか・・・。僕はもうちょっと見たい!」

「だって、もう見られたくないんだモン!だからもう見ないで!」

「・・・・あ、ルパートに変わってみなさんに彼を紹介するけど、彼はおでんで言うなら『

はんぺん』って位置なんだ。三角形のはんぺんじゃなくって、むしろほら・・・コンビニで

ある、あの『ふわふわはんぺん』・・・あれなんだよ。ふわふわしててホント、『まさにル

パート』って感じだろ?」

「ねぇ、ダンのエキスが僕に浸み込み過ぎなんだけど?僕が『ダン臭く』なっちゃうよ・・・」

「いーんだよ!『すじ』からのダシはおでんを美味しくしてるんだから。って言うか、『ダ

ン臭い』って酷くないか?」

「だってさ〜、僕は『優しいお味』って事でみんなに有名だしさ〜!」

「ふんっ!大した味じゃないだろ、『はんぺん』なんて・・・。女子供が食べる食べ物だよ

!あ、あと老人とかね・・・ははは♪」

「僕の熱狂的なファンが居るんだから、笑わないでよ!フンッ!ダンなんか良〜く煮ないと

食べれないガチガチのコリコリ君なのにさ!」

「あ、僕をそういう目で見てたのか、ルパート!」

「だってホントだモン!」」

エマが二人の会話に割り込んで来た。



「ちょっと!うるさいのよ、アンタ達!ここには私も居るって事、忘れないで欲しいわね!」

「・・・居たのか、エマ・・・」

「何よ、その言い方!何か文句あんのっ!」

「えっと・・・エマは今・・・」

「私が見えないのっ!アンタの目は節穴?」

「見えてるよ。エマは所謂・・・『バクダン』だろ?」

「あははは♪『バクダン』だって!まさにエマだね〜・・・痛ぁ〜い!

「私の事を笑うともっとぶつわよ!」

「フンッ!エマなんかベーだ!」

「たかが『はんぺん』のアンタに、『ベー』なんて言われたくないわよ!それに私、基本『

アホ』と『馬鹿』とは話さないの。ねぇ、ところでオリバー知らない?」

「・・・向こうで見掛けたけど?って言うか、ルパートの事を『馬鹿』って言うなよ!」

「そーだよ!僕はお利口さんなんだからねーだ!ダンの事も『アホ』って言わないであげて

よね」

「ちょっとちょっと、ルパート!僕が『アホ』は訳無いだろ?君はまさか僕の事そんな風に

見てたの?」

「う〜ん、良く分かんない。けど、ダンはたま〜に『お馬鹿さん』だけどね〜♪」

「ズルイぞ!自分は『アウェー』か?」

「『アウェー』?『アウェー』って何?『あいうえお』の省略版?」

「・・・・・」

おでんの中なのに・・・一瞬ダニエルとエマはサムさを感じた。



エマが話題を元に戻した。

「アンタの見掛けた『それ』って、ひょっとして『ジェームズ』の方じゃないの?私さっき

間違って声掛けちゃったわよ!てっきり中身がゴボウと思って声掛けたら、まさか『ウイン

ナー』だったとはね」

「確かに二人はビジュアルが一瞬そっくりだからなぁ・・・」

ダニエルは「ごぼう巻き」と「ウインナー巻き」の事を言っていた。

「うわぁ、ダン!助けてー!めぐみちゃんが僕の上に〜」

「あ、ルパートさぁ〜ん、すんませ〜ん」

「アンタは『じゃがいも』なんだから、もっと気を付けて転がってなさいよ!アンタみたい

なのにゴロゴロ乗られたら、こっち身動き出来ないんだから」

「・・・良く言うよ、エマ。自分だって『バクダン』なくせに。プッ♪」

「何か言った、ダン?」

「何も言って無いよ。ねぇ、ところでトムが居ないけど?」

「あ〜、彼なら向こうであのガイジンの餌食になってたわよ。あははは♪イイ気味♪べった

りくっ付かれてたわ♪」

「え?『餌食』?『べったりくっ付く』?」

「誰かぁーーーーっ!」

「あ、トムの声だ!」



「大根」と言う位置付けのトムが、既に皿の上に乗せられ、カラシ役のレオンハルトをべっ

たりと塗りつけられていた。

「やぁ、君達。こんばんは!良い意味でまさに『おでん』日よりだね」

レオンハルトが爽やかに挨拶して来た。

「俺はお前なんかに乗られるような『大根』じゃねーんだ!あっちいけ!シッ!

「ははは♪ご冗談を!僕は君から離れませんよ!だって、『大根』と言ったら『カラシ』で

しょ?」

「俺はカラシなんか好かねぇーんだ!」

「またまた〜♪大根にはカラシをタァ〜ップリ乗せて食べるのが日本酒にこれまた合うんで

すよ。ねぇ、お兄様?」


レオンハルトがオリバーとジェームズに合いの手求める。

「確かにな。俺も大根にはカラシタップリ派だ。観念しろ、トム」

「うわぁぁぁぁぁーーーーー・・・辛ぇぇぇぇ〜〜〜・・・」

可哀想なトム・・・・・レオンハルトが益々べったりだ。

       

                 

今宵は今年一番の冷え込み・・・。

各家庭でグツグツと煮込んだおでんの奏でる味のハーモニー。

どうぞみなさんも、大根にはタァ〜ップリとカラシを乗せてお召し上がりください♪




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