番外編SS「ある日のルパート」
<括舌編・その1・・・トム>
居間の畳の所にトムが寝そべって漫画を読んでいた。
そこへルパートがやって来る。
ル「ねぇー、誰かぁ!あ、トム〜!僕の『消しもぐ』知らな〜い?」
ト「・・・・・」
ル「ねぇ、知らな〜い?『消しもぐ』」
ト「さぁ・・・知らねーな。『消しゴム』しか」
ル「んもぅっ!ちょっこし間違っただけでしょーが!返してよ、僕の消しゴム!」
ト「ほらよ!お前の『消しもぐ』!」
ル「うるさいでしょー!馬鹿馬鹿っ!」
ト「どっちがだ!黙れっ!」
ル「フンッ!トムなんか『べーっ』だ!」
ト「・・・泣かすぞ!」
<括舌編・その2・・・オリバー>
台所に居るオリバー。
そこへルパートがやって来る。
ル「オリバー、明日学校で輪もぐ使うんだって。あるー?」
オ「何だ、『わもぐ』って?」
ル「『輪もぐ』だよ!知ってるでしょーが!?」
オ「知らねーよ。何だよ、『わもぐ』って」
ル「僕は『わもぐ』なんて言って無いでしょー!僕が言ってるのは『わーもーぐ』!」
オ「はぁっ!?何なんだよ・・・おーい、ダニエル!ヘルプ!」
話の埒が明かないので、「助っ人」を呼ぶオリバー。
ダニエルが姿を現した。
ダ「何、オリバー?」
オ「コイツ、どーにかしてくれ」
ダ「どうしたの、ルパート?」
ル「オリバーが悪いんだモン!僕の言ってる事分かんないから・・・お馬鹿さんっ!」
オ「何だとっ!」
兄の手が大きく振り上げられたので、ルパートはサッとダニエルの後ろに隠れた。
ル「だって・・・だってさ。僕、ち、ちゃんと言ってるのにさ・・・オリバーが悪いんだよ
っ!」
ダ「泣かないで、ルパート。僕にもう一回話してみて?」
ダニエルがルパートの頭をヨシヨシした。
ル「うん。明日ね、学校でね、わもぐを使うの。だから僕、オリバーに『わもぐ無い?』っ
て聞いたの」
ダ「なるほど。オリバー、ルパート明日学校で輪ゴム使うらしいよ?」
オ「何だよ・・・輪ゴムかよ。そこにあるから適当に持ってけ!」
ル「チェッ!最初っから僕は『輪もぐある?』って聞いてたのにさ!んもぅ、最初っからそ
ー言ってくれればいいのにさ!フン!オリバーの意地悪!オリバーのケチ!」
オ「お前がちゃんと喋らないからだろがっ!言えて無かっただろ、今だって!」
ル「オリバーなんか怒りんぼ!怖―――い!鬼―っ!逃げろー!!」
ルパートが「きゃ〜っ」と言いながら台所から退散し、階段を上がって行った。
オ「・・・ダニエル。アイツ、今何歳だったっけ?」
ダ「18だと思うよ」
オ「・・・だよな?ハァ〜・・・」
ダ「ホント、可愛いよねぇ、ルパートって♪僕の天使だよ♪」
オ「お前だけのな?」
<相手にしてよ編・・・ジェームズ>
居間でテレビを観ているジェームズ。
そこへルパートがやって来る。
ル「ねーねー、ジェームズ!ジェームズってば!」
ジ「あ?」
ジェームズの目は弟を観ていない。
彼の目はずっとテレビだ。
ル「ねーねー、あのさ、さっきさ・・・ねぇ、聞いてる?」
ジ「あ?あぁ、聞いてる聞いてる」
ル「さっきさ、僕が庭で・・・ねぇ、聞いてよ!」
ジ「聞いてるって・・・うぉっ、危っね!アセッたぜ。キーパー、ナイスセービング!」
ル「僕のお・は・な・し!!」
ジ「だから聞いてるって。で?」
ル「あのさ、庭でさ、小っちゃいトカゲがね、僕の膝小僧のトコに・・・んもぅっ!テレ
ビ見ないでよー!」
ルパートがテレビの前に立ってジェームズの楽しみを奪った。
ジ「見えねーじゃねーか!退けっ!お前の方がむしろ割り込んできたんだろ?俺のサッカ
ー観戦に。お前のトカゲ話は後!な?」
ル「・・・・・」
ジ「行けっ!そこだ・・・そこでパスだ!ぃよしっ!」
ル「・・・ベーっだ」
ルパートが静かに居間から出て行った。
ジ「っしゃーーーーっっ!ゴォォォォォォ〜〜〜〜ルッ!見たか、ルパートっ?!今
のボレーシュート・・・あれ?どこ行った、アイツ?お〜い、今なら話聞いてやるぞぉ
!」
<時間の無駄編・・・エマ>
庭で何やら地面を見ながらルパートが走り回っている。
そこへ隣のエマが現れた。
エ「何してんの、アンタ?」
池照家の庭に我が物顔で入って来るエマ。
ル「僕ね、『影』から逃げようと思ってんの」
エ「『影』?『自分の影』?」
ル「うん」
エ「・・・・・」
ル「・・・何だよ、エマ」
エ「相変わらずの『ド馬鹿』ね」
ル「あーっ!また僕の事『馬鹿』って言ったなぁ!イケナイんだからね!『馬鹿』って
言った方が馬鹿なんだからね!」
エ「うるさい、ウルトラ馬鹿っ!」
ル「わ〜ん!オリバーに言い付けてやるぅ〜」
エ「フン!何とでもお言い!オリバーは可愛い私の味方よ♪」
ル「違うもん!弟の僕の味方だもん!」
エ「アンタの味方はもう一人の馬鹿だけよ!」
ル「あーっ!ダンの事『馬鹿』って言わないでよー!」
エ「あら、分かってんじゃない。『もう一人の馬鹿』の事♪」
ル「くそ〜・・・これでも食らえっ!」
ルパートはエマに向かって「エアー・スぺシウム光線」を放った。
が、エマはルパートの顔面にパンチを食らわして自分の家に戻って行った。
ル「チェッ!エマは『スネ夫のフリしたジャイアン』だったよ。んもぅっ・・・『まさかの
まさか』だったよ!」
めぐみがその一部始終を見ていた。
め「ルパートさんって、ホント面白い言葉喋んだンな〜・・・」
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